物流倉庫スラブの不陸基準まとめ|JASS5・FF/FL・Fminをどう使い分けるか?
物流倉庫の床は「人が歩くだけ」の時代ではなく、AGV・高所ラック・重量物フォークリフトが常時運用される“設備要素”として扱われます。そのため、従来のJASS5だけでは評価しきれないレベル精度が求められ、FF/FL・Fminなど複数基準が併存する状況が生まれています。
本記事では、JASS5・FF/FL・Fminの特徴、計測方法、使い分けの判断基準、点群による全域評価、補修設計の進め方を、現場代理人・監理技術者の視点で体系的にまとめます。
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物流倉庫スラブの不陸基準をどう選ぶか
物流倉庫スラブの基準選定が難しい理由は「用途ごとに求める床性能が大きく異なる」点にあります。ハイラックエリアと一般動線では求められる平坦度がまったく異なり、AGVの導入や重量フォークリフトの旋回部などは、わずかな“うねり”が稼働率を大きく下げます。
JASS5・FF/FL・Fminの適用領域の違い
JASS5は建築一般の許容値としては妥当ですが“局所的なうねり”は評価しづらく、物流用途では不足するケースがあります。一方、FF/FLは統計的に傾斜・水平度を評価し、広範囲の品質傾向を把握できます。Fminはフォークリフト用途に最適化され、走行方向の「短波長の歪み」まで細かく評価できます。
仕上げレベル別の推奨基準
- 一般動線:JASS5で十分
- AGV・自動倉庫:FF/FLを併用
- 重量フォークリフト:Fminを基準に
- 高所ラック:FF/FLまたはFminを高めに指定
不陸・平坦度に関する課題と背景
物流倉庫のスラブでは、施工ロット差、鉄筋かぶり、施工温度、コンクリートの収縮などが影響し、“エリアごとに微妙な不陸”が発生しやすい傾向があります。従来のレベル測定だけでは、これらの細かな波形を十分につかめません。
既設図面と実際のレベルが一致しない
竣工時には問題がなくても、使用開始後の収縮で差が広がるケースがあります。また、改修時は既存スラブの局所沈下を無視できず、点群で実測しないと誤った計画につながります。
AGV・ラックの要件が高まっている
AGVはわずかな傾斜の変化でも停止・減速を起こし、ラックは柱脚レベル差が大きいと横揺れの原因になります。床性能は生産性に直結します。
主要基準:JASS5 / FF・FL / Fmin の違い
JASS5の位置づけ
JASS5では、定点間レベル差や3mスパンの許容差などが規定されています。建築一般の品質としては妥当ですが、「床面の波形」までは評価しづらく、物流用途の“短波長のうねり”は見落とす可能性があります。
FF/FLの評価ロジック
FF(Flatness)は短波長の凹凸、FL(Levelness)は長波長のレベル傾向をそれぞれ統計的に評価します。広い床の傾向把握と仕様比較に有効で、AGV走行面や高所ラックの下地評価に使われます。
Fminの特徴
フォークリフト走行を想定した基準で、走行方向に沿った細かい測定が特徴です。スロープや荷役動線で“揺れ・ふらつき”を抑えるため、荷主指定で求められるケースが増えています。
平坦度計測〜是正ワークフロー
ステップ1:3D点群の取得
レーザースキャナで倉庫全域を計測し、ミリ単位で床形状を取得します。従来のレベル測量より圧倒的に密度が高く、局所的なうねりや沈下を把握できます。
ステップ2:基準に応じた算出
点群からFF/FL・Fminの条件に合わせた統計値を算出し、またJASS5相当のレベル差も抽出できます。基準が混在しても、1回の点群で全て評価できるのが利点です。
ステップ3:是正必要箇所の抽出
カラーマップで不良箇所を見える化し、どの範囲を研磨・樹脂系で補正すべきかを検討します。不要な全面補修を避け、最小限の改修量に絞ることができます。
ステップ4:補修後の再計測
補修後も点群で再評価し、基準値を満たしているかを検証します。改修品質をデータで残すことで、荷主との引渡しリスクも低減します。
よくある落とし穴とチェックポイント
よくある失敗
- レベル基準点が不明確で全体がずれる
- ラック下の“見えない不陸”が残る
- 補修後の段差を見落としてしまう
- FF/FL・Fminの統計的理解不足
チェックポイント
- 基準ごとの“目的”を明確に設定
- 点群密度は最低5mm〜10mm
- 広域傾斜と局所的うねりを分けて評価
- AGV・フォークなど設備ごとの要件整理
コスト・工期・品質へのインパクト
点群導入により床性能をデータで把握することで、以下の効果が期待できます。
- 補修面積を30〜70%縮減できるケース
- AGV停止・減速要因の特定が容易になる
- フォークリフト走行の揺れによる荷崩れリスク低減
- 引渡し検査の論点を明確化し、調整時間が短縮
活用事例(物流・製造・冷凍倉庫)
事例1:高所ラックエリアの床検証
点群からレベル傾向を分析し、ラック柱脚下の微小な不陸を抽出。必要範囲のみ樹脂で補修し、全面改修を回避しました。
事例2:食品センターでのFmin評価
フォークリフト動線にFminを適用し、揺れ発生箇所を特定。走行性改善により荷役効率が向上しました。
事例3:AGV走行路の平坦度改善
AGVが停止する“段差波形”を短波長で分析し、研磨ポイントを最適化。生産ロスの大幅削減につながりました。
関連ガイド
FAQ
点群だけでFF/FL・Fminを算出できますか?
可能です。測定区間の再現性が重要で、評価ロジックに合わせた点群抽出が必要です。
どのエリアにどの基準が適切ですか?
一般エリアはJASS5、AGVや高所ラックはFF/FL、フォークリフト中心ならFminを推奨します。
荷物がある状態でも計測できますか?
動線中心の計測で対応できますが、死角は最小限の片付けが必要です。
相談・お問い合わせ
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